本日は、ジャズのアドリブ練習にメトロノームを使用する方法とその有効性について、まとめてみたいと思います。
私自身はプロのジャズミュージシャンでも何でもないので、あくまでもジャズ勉強中のアマチュアの考察という点をご理解の上で読んでいただければと思います。
海外でジャズを学ばれたジャズミュージシャン達が勧めているメトロノームを使った練習法を調査して、私なりの解釈も含めて、まとめた内容となっています。
ジャズ初級・中級者には、参考になることや気づきになることがあると思いますので、リズム感の向上に役立つことができれば幸いです。
私はジャズサックスをメインで学んでいますが、この記事は、特に楽器には関係なく、サックスやトランペットなどの管楽器だけでなく、ピアノ、ギター、ベース、ドラムなどのリズム楽器の人にも参考になればと思っています。
ではまず最初にジャズ練習でメトロームを利用するときのパターンについて、譜面にしてみましたので、ご確認ください。
ジャズ練習で使うメトロノームのパターンについて
各パターンの譜面
パターン①4分音符4拍全部
このパターンは、一般的なメトロノームの利用方法だと思いますが、ジャズの場合、どちらかと言えば②で練習することを進められると思います。
いきなり②で練習することが難しい場合などに、まず①から始めてみると良いと思います。
パターン②4分音符2拍4拍のみ
ミディアムテンポ以上のSwingの曲などは、このパターンが基本になってくると思います。
慣れるまでなど、裏に感じることが難しい人もいると思いますが、その場合、次のようにするとリズムがつかめると思います。
・メトロノームの音と音の中間で「ワン」と発声
・次のメトロノームの音と同時に「トゥ」と発声
・またメトロノームの音と音の中間で「スリー」と発声
・また次のメトロノームの音と同時に「フォー」と発声
これで、2拍4拍にメトロノームの音が来ていると思います。
BossaNovaのようなラテン系の曲は、パターン③でやった方が良いという意見もあるようですが、私個人の意見としては、パターン②とパターン③どちらもできた方が良いのではないかと、思っています。
パターン③4分音符1拍3拍のみ
4拍子の曲は、1泊目(強拍)、2拍目(弱拍)、3拍目(中拍)、4拍目(弱拍)となります(楽典でそういうことになっています)が、パターン③は、弱拍ではなく、強拍と中拍の方にメトロノームを鳴らすパターンです。
一般的な感覚としてパターン②よりこちらの方がなじみがあると思います。
一度、パターン②に慣れてくると、パターン③に切り替えることが少し難しくなる気がします。
私の意見としては、どちらかに固定してしまわず、パターン②とパターン③どちらもできて、切り替えできるリズム感を持っている方が良いような気がしています。
パターン④8分音符裏打ち
8分音符がイーブンの8ビート系の曲に対して、この練習をすると良いようです。
しかし、このあたりからかなり難易度が上がってきます。
いきなり楽器で演奏するとハードルが高い場合があるので、まずは手で拍子を取って、このリズムに乗る練習から始めると良いと思いました。
理屈では分かるのですが、サックスのコントール技術がまだまだ未熟な私には、パターン④以降は難しくて、まだまだこれからの長期的な課題になりそうです。
私自身、元々ドラマーだった関係で手ではある程度できるのですが・・・、口で行うタンギングのスキルは、全く追いついていないです。
パターン⑤8分音符3連裏打ち
Swingやシャッフルの曲の裏打ちをメトロノームにするパターンです。
これはパターン④よりもさらに難易度が上がります。
少し手を使ってチャレンジしたのですが、結構手ごわいです。
頭拍のリズムだけを取るくらいであれば、できそうですが、この位置でメトロノームを鳴らしながら、8分音符を連続したり、シンコペーションするリズムをこの上に乗せるのがめっちゃ難しいです。
時間をかけてじっくりと取り組まないとできなさそうですね。
スローテンポから少しづつテンポを上げてトレーニングすることが基本ですね。
パターン⑥16分音符裏打ち
16ビートの曲なども演奏する人は、こちらにもチャレンジしてみられると良いと思います。
更に難易度が上がっていきます。
実際にこのような曲芸を披露されているYoutuber(jazzミュージシャン)さんの動画をつけていますので、興味のある人はチェックしてみてください!
④⑤⑥は、非常に難易度が高いので、まずは②にじっくり取り組んでグルーブを出せるくらい上達してから、それ以上の難易度にトライする方が良いと思います。
メトロノームを使った練習がなぜ良いか?
現代ではもっとリアルな伴奏ツール(私も別の記事で紹介している)が存在しますが、なぜジャズを教えている先生達の多くが、メトロノームを使った練習をお勧めしているか?
その理由について、私なりに解釈した内容を共有します。
スペースのある状態での練習がリズムキープ力を向上させる
IRealProや各種マイナスワン音源などは、実際のジャズバンドのリズムセクションのようでリアリティーがあってよいのですが、(常にドラムなど鳴って)リズムが埋め尽くされていて、正しいリズムが常に聞こえてきます。
その正しいリズムで埋め尽くされた音を頼りにしないとリズムがキープできないという弊害が発生するのだと思います。
練習音源とは異なるリズムパターンが実際の演奏中に聞こえてきたため、リズムをキープできずに、走ってしまったり、極端にもたってしまったりして、ギクシャクした演奏になってしまうなど。
細かい音符がなっていない状態で、必要最低限の音(例えばパターン②)を相手にして、それを基準にグルーブを出せるくらいの演奏ができるようになれば、細かいリズムパターンの違いに惑わされたり、つられたりすることなくなっていくのだと思います。
スペースの中にあるべき正しいリズムを高いレベルで意識できる(=リズム感が良くなる)
IRealProや各種マイナスワン音源の弊害は、細かい音がなっていることで、細かい音がなっていない場合、そのスペースにあるべき正しいリズムは、自分自身で意識する必要性があります。
Swingの曲をパターン②で練習した場合を例で言いますと、
1拍3拍は、メトロノームの音が鳴っていないので、演奏している本人が正しい1拍3拍のタイミングを意識して、ちょうどよいタイミングで演奏する必要があります。
頼りにするものはないので、自分に頼るしかありません。
その空いたスペースのちょうどよいタイミングを自分で感じて、自分で演奏して良いリズムを作っていける状態(即ちリズム感の向上)になることが、メトロノームを使った練習で期待できるということなのだと思います。
4分音符だけでなく、更に細かい裏拍(8分音符やSwingの裏、16分音符の裏など)の正しいタイミングを感じて演奏できるようにすることを目的にしたのが、パターン④⑤⑥なのだと思います。
途中で私は過去にドラムを経験していると申しましたが、昔ドラムをやっていたその当時、リズムに対する感覚がとても研ぎ澄まされていた記憶があります。
周りの人からは全く違いは分からないようなですが、ジャストのタイミングで叩けた時、若干ブレたタイミングで叩いてしまった時、そのようなとても微妙違いすごく感じながら演奏していました。
その経験から、ちょうどよいタイミングを正確に感じることの大切さを改めて気づいたのでした。
メトロノームを使った練習は、細かいリズムが鳴っている音に合わせるのではなく、音の鳴っていないスペースに自分で正しいリズムを感じながら演奏できるようになることがポイントなのだと思います。
ちなみに、ドラムスティックとサックスのタンギングは全くの別物で、
サックス勉強中の私としては、良いリズムで演奏できないことを常に悩み続けています。
まあ、サックスをコントロールするトレーニングを続けていくしか解はないのだと思いますが。
ジャズの練習に向いているメトロノーム
最近メトロノームを使ったジャズの練習に目覚めた私なのですが、練習の相棒にふさわしいと感じたメトロームを購入しましたので、参考に紹介します。
SEIKO QUARTZ METRONOME SQ50v
このメトロノームを選んだ理由は、
1.安っぽい電子音ではなく、暖かく優しい音で長時間練習しても嫌にならない気がした
2.シンプル操作で頑丈そう、持ち運び可能なサイズ感
3.SEIKO のブランドイメージ(一緒に写っている愛用の時計とおそろい)
です。
amazonのサイトにアクセスするとメトロノームの音も確認可能です。
今回メトロノームをいろいろ調べていて、ちょっと心が揺らいだ商品を参考に紹介します。
機械式の木製の製品では、これがステキでした。
ドイツ製のウイットナーです。この音には癒されます。アナログは最高ですね!
平行な場所の確保、持ち運びはちょっと厳しい・・などの理由で諦めました。
電子メトロノームでは、こちらと悩んだ結果、私はセイコーを選択しました。
メトロノームを使った練習の参考動画
私が今回調べたメトロノームを使ったジャズの練習に関する動画の中で、特に参考になったYoutube動画を3つ紹介します。
篠田淳さんの動画
まずは、ジャズピアニスト篠田淳さんの動画です。
「弾いていないときにも拍があることを意識する」
という説明とその模範演奏は、とても勉強になると思います!
トモ藤田さんの動画
次は、ギターリストのトモ藤田さんの動画です。
2拍4拍にメトロノームを鳴らした状態で行うリズムトレーニングが紹介されています。
このトモ藤田さんが持っているFranzaというビンテージっぽいメトロノームがめっちゃ格好良すぎるのですが、国内では手に入らないのでしょうね。(正面から見ると握力計みたいですが)
トモ藤田さんは、他にも英語版の動画でメトロノームを使った練習方法を紹介されていたので、そちらもとても参考になりました。
土田晴信さんの動画
次は、ハモンドオルガン奏者の土田晴信さんの動画です。
私が途中で紹介した16分音符の裏なども実際に実演されていますので、参考にしてください。
オンラインレッスンをお探しの方は、第一線で活躍中のプロ講師も登録しているオルコネを要チェック!
実は、動画紹介した土田晴信さんは、このオルコネの講師として登録されているようです。
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